リミット五分前の攻防

前回にも、期限一時間前から二千字のレポートを書き始めて、なんとか終らせた前科を持つ私。今回こそは、そのような事態にならないよう、期日の前日昼から参考書を読んで、万全の体勢で臨む…筈だった。今回のレポートは宗教学。ネットで調べた限りでは、どうやら宗教と哲学との関係について述べれば良いらしい。
早速図書館に行き、検索して参考書を読み始める。…が、図書館のソファーに凭れて読んでいるうち、余りの退屈さに大口空けて爆睡…。気を取り直して読み直すも、やっぱり文章が不可解すぎて睡魔が…zzz。かくも哲学者は廻りくどく技巧を凝らした文章が好みなのかね。比喩使うのは結構、でもそれが余計に解読を難解にするぐらいなら、お願いだからもっとストレートに書いてください。
それでも何とか、昨日の夜には半分ほど書いて、じゃああと半分を朝に書けばいいか、と余裕を持って就寝。そして翌日。一応書き進めようともう一度本を読む。
…が、さっぱり解らん。こいつ(=著者)は何が言いたい? 読めば読むほど、入り組んだ文字の迷路に迷い込み、答えが出なくなる。


仕方無いので現実逃避(ネットサーフィン)。が、出発まで二時間を切ったところで、否応無く現実に引き戻される。

とりあえず参考書を読んでみる(眺めてみる)。やっぱり意味解らん。暴走(奇声・奇行)

本当に時間が無くなってきたので、まず冷静に、本の重要と思しき内容をレポートに書き出してみる。なんとなく理解できる気がする

書き出して行くにつれ、レポートの趣旨がどんどん変わっていき、収拾つかなくなる。そうこうする間に家を出発する時間が迫る

ノートPC片手に電車に乗り、とにかく本を読んではタイプ、タイプ。しかし相変わらず内容が支離滅裂。まったく結論が出る気配なし。しばらくディスプレイを閉じて瞑想、神の啓示を待つ

大学に滑り込み、大学のパソコンの電源をON、ログイン。この時点で残り15分切る。神の啓示を手持ちのノートに叩きこみ、残り6分で強制的にレポートを書き上げる(書き上げたことにする)

FDドライブをノートに接続し、ディスクにデータを落とす。が、大学側のPCがそのディスクを認識しないエラーが。あと5分。

こんなこともあろうかと用意しておいた二枚目のディスク。しかしそいつもエラー。三枚目を挿入して、ようやく正常にデータ移動完了。

すぐにファイルを開き、Ctrl+P(印刷コマンド)実行。データ、学内LAN経由でプリンタに入力される。これでもう安心…。あと4分。

プリンタを見に行くと、何と赤色ランプが点灯。紙詰まりエラーの表示。TAを呼んでいる暇など無い。藁にもすがる気持ちで上部カバーをガチャガチャと弄る。

祈りが通じたか、私の執念か、プリンタが正常復帰。プリンタ、トナーに汚れた一枚を排出し、私の作成したレポートがプリントアウトされる。やや汚いが気にしている時間はない。あと2分30秒。

ダッシュして、階下の学部窓口へ。レポート表紙を書き始める。あと1分切る。

レポート表紙をレポートに添付し、ホチキスで止めて提出。5時丁度。
…こうしてなんとか命拾い。ちなみにその5分後、持ってきたノートPCを終了し、片づけて窓口の前を通りかかると、既にシャッターが閉められた後でした。危ねぇ…。ちなみにレポートの内容は、過去に類を見ないほど滅茶苦茶であることを、自信をもって保証します。あれだけの極限状態で書き上げたからねぇ。
もうこんなギリギリは嫌だ…(しみじみ